Translated by momo

* The Play Boy Interview : Tobey Maguire. *
Play Boy, August 2003.


スーパーヒーローが、自分のありのままを感情豊かに語る。肉体の改造(『シービスケット』ではか細く小柄に、『スパイダーマン』では筋骨逞しく)について、アルコール依存更正について、そして、自身のプライベート・ライフについて。

 体重140ポンド、身長5フィート8インチのトビー・マグワイアは、そうする必要がある体型とは思えない。しかしこの28歳の俳優は、『シービスケット』の騎手レッド・ポラードという役に備えるため乗馬マシンで鍛練し、更に20ポンド落としたのだった。そして、このほとんど過酷といえる状況のもと、『シービスケット』の撮影が終了してまたすぐに、彼は8億ドル稼ぎだした2002年の作品の続編、『スパイダーマン2』のため、肉体を増強しなければならなかった。

 スーパーヒーローになる前のマグワイアは、思い悩む性格だがモラルは守る、といった青年の役を演じて、アートシアター系の分野を切り開いて来た。『アイス・ストーム』『サイダーハウス・ルール』そして『ワンダー・ボーイズ』などで、マグワイア自身も尊敬する一流の俳優達、ケヴィン・クライン、マイケル・ケイン、マイケル・ダグラスらと共演する。そうして2002年、『スパイダーマン』でウィレム・デフォー扮するグリーン・ゴブリンを相手にし、もっとも奇抜なアクション・ヒーローの一人として人々の記憶に残ることになった。

 「マグワイアは、このような役柄でスタジオが好むような昔ながらの男らしい男、といったタイプでは全くない」ケネス・トゥーランはロサンジェルス・タイムスで書いている。 「しかし、きしみがちな声がもたらす誠実さはヒーローに似つかわしく、ごくごく普通の青年に見える彼の型破りな魅力のおかげで、もっとも説得力のあるスパイダーマンが登場した。」

 マグワイアは南カリフォルニアで生まれ、育った。若く未婚の彼の両親はコックとして、秘書として働ていた。2年後二人は結婚したが、すぐ離婚してしまう。マグワイアが中学で家庭経営学のクラスを受けようとした時、母親は息子に100ドルを与え、その代わりに演劇の授業を取らせた。ここで彼の人生が変わる。コマーシャルやテレビ番組に出演を続けるため、彼は高校一年で学校を辞める。彼はのちに、タブロイド紙から<売春婦取締斑>とあだ名される、レオナルド・ディカプリオや、大勢の若いロサンジェルスの俳優達と付き合うようになった。マグワイアとディカプリオの二人は、ロバート・デニーロが出演した1993年の作品、『ボーイズ・ライフ』のためオーディションを受けたのだった。

 しかし役を射止めたのはディカプリオで、彼は自分の友達が小さな役をもらえるよう、手助けをした。批評家に賞賛される作品群がそのあとに続いたわけだが、マグワイアを大スターに押し上げたのは『スパイダーマン』だ。今はローラ・ヒレンブランドのベストセラー小説が原作の『シービスケット』が控え、また来年夏公開の『スパイダーマン2』を撮ることで、彼はハリウッドで最も高額のギャラを手にする俳優達の仲間入りをした。(スパイダーマンの2作品で、2、600万ドルの出演料ということだ)寄稿家でもある編集のデヴィッド・シェフがマグワイアのウエスト・ハリウッドのオフィスに赴き、数日を共に過ごした。わずかに伸びた無精髭の、口元に葉巻のすいさしを燻らせる俳優に会ったのは、彼がワイヤーばかりの天井からぶら下がる撮影から戻って一日後のことだった。


PB:スパイダーマンをやる時は体を膨らませるだろうけど、騎手は小柄だよね。スパイディをやってから騎手の役をやり、そこからまたスパイディに戻るっていうのは、体がめちゃくちゃにならないかい?

TM:スパイダーマンと騎手とで、肉体的に必要とする要素はそれほど変らないんだ。『シービスケット』のために、体重は落とさなきゃならなかったよ。でも、騎手っていうのは、信じられないぐらい強靱な体をしてるんだ。知らない人が多いだろうけどね。自分が子供の頃は、そんなこと思いもしなかったよ。彼らは皆ほとんど115ポンド以下で、それなのに力の強い競走馬をコントロールしなくちゃならない。馬は2000ポンドもあるんだよ。騎手が一度馬にまたがったら、馬をせきたてるか、手綱を緩めるかなんだ。両腕、両足、上半身、背中、肩を使ってね。彼らの体は小さい。だけど、猛スピードで突っ走る、筋肉の塊なんだ。

PB:『シービスケット』の前に、馬と過ごす機会は多かった?

TM:馬は好きだね、でも、乗るのが楽しいって言うのは気がとがめるよ。動物に体を乗せて、あちこち連れ回させるなんてね。自分がその動物だったら、背中に何かが跨がってるなんて、想像もつかないことだからね。以前、『楽園をください』っていう作品をやった時だけど、馬の乗り方と銃の撃ち方を習ったんだ。でも競走馬に乗るのは、また別の話だね。競走馬っていうのは、走りたがるものなんだ。本能なんだね。コントロールするのは難しいよ。トラックに出た最初の時、馬を引き止めておいたんだけど、その次には、手綱を緩めて馬を思いっきり走らせたんだ。ワォ。ほんとの騎手達から歓声があがったよ。そのあと彼らが言ってくれたんだ、”初心者卒業だな”ってね。それから乗るたびごとに、僕は上達していったよ。

PB:馬は役者に協力的だったのかな。

TM:馬と一緒に仕事をするのは、確かに挑戦と言えたよ。馬がやっていい事といけない事には、規定があるんだ。休む前にどれくらい走っていいか、とかね。最終的には、シービスケット用に10頭の馬が必要だったよ。レースのシーンは、ものすごく入り組んだもので、8人の騎手、8頭の馬、それにトラックを走り回るカメラを積んだ車で撮影したんだ。実際のレースを再現しようとしてね。そこでは、確実に起こるべき事が起こらなくちゃならない。決まった馬が勝たなければならないんだ。勝つのはその4本の脚でだろうが何だろうが、他にどうやってでも、ね。現場では、数え切れないぐらいの馬を使って、それをローテーションして撮影したよ。

PB:ジェフ・ブリッジズやクリス・クーパーとの仕事はやりやすかったかい?

TM:もちろん。二人とも、素晴らしい人たちで、素晴らしい俳優なんだ。ぼくは、やるべき事をきちんとやりこなす人たちと仕事するのが好きだよ。その人の仕事が何であれね。ぼくらはずっと、クリスが『アダプテーション』でオスカーにノミネートされたことで、なんとか話を聞き出そうとしたものだよ。

PB:どうやって?

TM:クリスがオスカーを取るのは確実じゃないか、なんて彼に言ったりして。ノミネートされたら、そんなことは聞きたくないだろうからね。(結局、彼はオスカーを取った)

PB:この作品を撮る前に、原作は読んだ?

TM:(監督の)ゲイリー・ロスに、読むように言われたんだ。それで読んでみたよ。物語と登場人物、それにレース自体が素晴らしいものだと思った。原作は、いろいろなものを丁寧に描いているから、読むとレースの入り組んだ内容を体験することになる。想像することなんて出来っこないぐらいのね。この馬がどんな馬で、その当時、歴史的にどんな意味を持っていたかってことを理解するよ。本当に素晴らしい物語なんだ。

PB:今までに競馬に行った事はあるのかい?

TM:子供の時にね。でも、その時は単に見せ物にしか思えなかったんだ。馬に騎手が乗って、トラックを走り回るのを眺める。ぼくには、そのショーは楽しいものだった。だけど今回映画を作ることになって、その背景にあるものを調べて、いろいろな物事がどんなふうに進められているのか学ぶようになった。そのショーを成り立たせるための全ての要素を勉強したよ。調教師や、馬丁や、騎手達、それにオーナーの役割を理解したんだ。騎手達へものすごく敬意を払うようになったよ。この競技には季節も無い。それは、騎手達が、1年間に52週間は働くっていうことを意味するんだ。彼らは、レースに勝たなければ、そんなに多くは稼げない。もし勝てば、賞金の一部分はもらえる。オーナーが得るのは賞金の60%、騎手は6〜10%ぐらいなんだ、賞金がいくらだろうとね。もちろん、これは勝った場合の話だけど。騎手全体の上から10%はまずまずの暮しが出来る、だけど残りの騎手達はそうはいかないってことだ。彼らが、2分間のレースのたびにやっている事には驚くよ。1年じゅうずっと、体重を落として保たなければいけないんだ。レスラーやボクサーだって、試合の前には体重を落とさなくちゃならないだろうけど、騎手達は、1日に8回も体重計に乗らなくちゃならない。それも毎日ね。ボクサーだったら、試合の後で気を緩めて、体重が2、3ポンド増えたってかまわないだろう。騎手は、1、2ポンド増えたらすぐさま元に戻さなきゃならないんだ。

PB:まるで拷問みたいだね。役のためには、どうやって減量したの?

TM:ダイエットと運動だね。他に方法はないんだ。サウナにしばらく居れば、ある程度の水分量は落とせるかもしれない、だけどたいしたことないんだ。こう教えてくれた騎手がいたんだけど、20分サウナに居たら1ポンド落とせる。でも、2ポンド落とすのは至難の技なんだって。1時間か、もっとかかるそうだよ。彼らは、始終そんなことをやってないといけない。頻繁に脱水状態に身を置いて、そのままレースに出なくちゃならないんだ。

PB:『シービスケット』のすぐ後、『スパイダーマン2』のために体重を戻したよね。簡単だった?キツかったかい?

TM:体重を増やすだけなら難しくないんだ。数週間、食べたいものを何でも食べてね。大変なのはそれから脂肪を落として、また筋肉をつけなきゃいけないってことだったね。ほんとにキツかったよ。

PB:どれくらい?

TM:これ以上ないってぐらい。体調を保つためだったら、1週間に2、3回だけエクササイズをすればいい。でも今度は、1週間に6日、1日に5、6時間はやらなきゃいけなかったよ。


PB:スパイダーマン用の基本的なトレーニングはどんなもの?

TM:今回は、前回とまた違ってね。前作では、体全体を使ういろいろな訓練をしたんだ。体操、格闘技、ダンスなんかも。ウエイトをつけて、心拍数を測りながらね。今回は、ハーネスを付けてのワイヤー・アクションもあったから、跳ね回ったり、キックしたり、飛び上がったり、宙返りをしたり、っていう訓練もしたよ。スパイディのポーズも身に付けなきゃいけなかったし。今回も心拍数を測りながらね。そうやってスパイダーマン独特のシーンに備えたんだ。

PB:すごく危険じゃないのかい?

TM:トレーニングで、危険過ぎるようなことはやらないよ。2、3度頭を打ったりしたけどね。

PB:最近よく記事にされてたことだけど、君は『スパイダーマン2』には出演しなくて、代わりにジェイク・ギレンホールがやることになった、っていうのがあったよね。何があったの?

TM:スパイダーマンの役を取った時、3作目まで出演するよう決めなければならなかったんだよ。それはスタジオ側の要求だったからね。僕には不安もあったけど。だから、そんな記事はでたらめさ。契約した時から、続編に出ることは決まってたんだから。

PB:どうしてそんな記事が出たんだろうね?

TM:考えられるとしたら、続編は前作よりも激しいスタントがあって、僕の背中に問題があった、っていう事だろうね。背中の状態は良くなってたんだ。でも、スタントに耐えられるかどうか確かめたかった。何人かの医者に診てもらったよ。ワイヤーアクションでどんな感じか、知りたかったからね。スタジオ側も注意深くなった。小さな問題が誇張され過ぎたんだよ。

PB:『スパイダーマン2』に関する記事には、君がギャラを吊り上げようとしてる、っていうのもあったね。背中の問題っていうのは、本当かい?

TM:本当だよ。

PB:前の『スパイダーマン』で背中を痛めたの?

TM:実は、映画の前に痛めていたんだ。ずっと整骨師に診てもらっていてね。治療はまるで神業なんだ。

PB:どうして整骨師なんだい?主流の医者は、整骨治療の効果なんて怪しいもんだ、って思ってるんじゃないかな。

TM:僕だって、神経外科に行ったりしたよ。それもいいさ。だけど、神経外科医は、注意深く患者を扱ってくれるわけじゃない。処方はするけどね。それで理学療法師やカイロプラティック師のところにも行ったよ。理学療法はいいものだよ。カイロプラティック師の中には、親切にも、自分の治療では僕の痛みは治せない、と言ってくれた人もいたんだ。でも整骨治療は、信じられないぐらいよく効くんだ。どうやったのかわからないぐらいさ。ほとんど指圧療法のようなものなんだけど、もっと入り組んだものだね。

PB:グリーン・ゴブリンをやったウイレム・デフォーだけど。彼は格闘シーンで、君とその背中にはいつになく荒っぽかったよね。

TM:そんなことないよ。だけどスタントマンの方が、彼よりは用心してやってくれたね。

PB:痛みのことは言わなかったの?

TM:僕らはお互いからかいあっててね。よく彼に言ってたんだ、必要以上に派手なキックやパンチをやり過ぎだよ、ってね。そしたら、彼に”泣き虫クン”って呼ばれたよ。


PB:君は、今までケヴィン・クラインやマイケル・ダグラス、ジェフ・ブリッジズやマイケル・ケイン達と仕事してきてるよね。自分より年上で経験豊かな俳優と一緒だと、萎縮したりしないかい?

TM:これはとても幸運なことだと思うけど、僕が一緒に仕事してきた中で、相手を萎縮させるように振舞う人なんていなかったんだ。だけどもし自分が、その人が誰であるか気にしたり、そんなことばかり考え込んでしまったら、自分のやることがめちゃくちゃになってしまう。演技に集中しなければいけないんだ。最初にマイケル・ダグラスに会ったときは、そうだね、少し神経質になったよ。でも一度仕事をしたら、気楽に過ごせるようになった。彼は本当に心の温かい人なんだ。僕達は、スポーツについてたくさん話したよ。ニックスとヒートのことで彼をからかったりしたんだ、彼の好きなチームだからね。僕がもっと若い時、『地球は女でまわってる』のために、ウディ・アレンの前でセリフを読むことになってたときの話だけど、僕は20歳だった。上手くいくと思ってたんだ。それが、オーディション待ちの部屋に入っていったら、パニック状態になってしまって。ウディに会えるっていうのに、僕ときたら、”カンベンしてくれよ、オーディションの列に並んでウディ・アレンの前でセリフを言わなきゃならないなんてさ”って感じだった。深呼吸をしてたら、だれか知らない女の人が僕の背中をさすってくれた。”だいじょうぶ、ねえ、きっとうまくいくわよ”って。僕は列に並んだけど、まだひどい状態でね。それで出て、少したってから戻っていってセリフ読みをしたんだ。まったくひどい出来だったと思うんだけど、とにかく役がもらえたんだ。

PB:彼に理由を聞いたかい?

TM:いいや。でも、演技はうまくいって、映画を見てもちゃんとやれてるな、って思ったよ。その前、16歳の時、『ボーイズ・ライフ』でデ・ニーロに会ったんだ。僕は、レオがやることになる部分のセリフ読みをした。オーディションした8人か9人がデ・ニーロと読み合わせをやったんだ。そのときちょうど僕は、デ・ニーロやダスティン・ホフマン、アル・パチーノなんかの世代のすごい俳優たちに魅了されてるところだった。僕はほんとにコチコチになってしまってね、全くダメだったよ。レオがやると、ぴったりはまってて、誰と読み合わせをやってるかなんて気付いてもいないみたいなんだ。デ・ニーロと対等に渡り合えて、説得力があるのはほんとに彼だけだったんだよ。

PB:きみたちのうちどちらかが役を取れたら、もう片方のために役をもらえるよう努力すると決めてた、っていうのは本当?

TM:うん、そうだよ。それでレオナルドはその通りにしてくれたんだ。

PB:彼と映画に出るのってどんな感じだった?

TM:驚くよ。素晴らしい時間だった。その映画で洞くつのシーンがあったんだけど、そこで、彼と僕ら仲間が酒を飲んでて。僕らは自分達の人生について偉そうな夢を語ってる。すると彼が言うんだ、”何寝ぼけたこと言ってるんだ?結局は自分らのオヤジみたいになるだけじゃないか”ってね。で、僕らに殴りかかってくるんだ、それから壁の棚を引き剥がして落とすと、泣き出す。彼がそこで演じるのを見て思ったよ、”まったく、僕の友達ってのはホントにすごい役者じゃないか”ってね。圧倒されたんだ。

PB:しばらくの間、君とディカプリオ、それに他に付き合いのあったハリウッドの仲間何人かで、パーティーなんかで派手に騒いでた時期があったよね。

TM:そんなのマスコミが言ってるだけだよ。うそっぱちさ。

PB:君たちが自分たちで<売春婦取締班>だって名乗ってた、とかさ。

TM:冗談だろ?僕がその名前を知ったのって、タブロイド紙の中でだけだよ。それについて話すことなんて、これっぽちも無いね。そんな事に関する質問だったら答えられないよ。だって、まったくの作り話なんだからさ。

PB:ある記事には、君たちがパパラッチにぶどうを投げ付けた、ってあるけど。やったのかい?

TM:やってないよ。あんな連中に手を出したりしないさ。あの連中ときたら、なんだって訴訟に持って行こうとするんだからね。そんなことに、関わってる余裕は無いよ。

PB:悪臭爆弾でもお見舞いするのはどう?

TM:子どものときだったらね。だけど、もう成長してるからね。

PB:今もずっとディカプリオと付き合いはあるの?

TM:ああ、だけど、友達の事を話すのは好きじゃないんだ。僕の個人的な部分だからね。映画の話をしたいな。

PB:仕事の関係が、友情関係になって行くのもよくあることだろう?

TM:そんなこともあるだろうね。どんな場合だって、意気投合する人はいるし、そうじゃない場合だってあるよ。

PB:マイケル・ケインってどんな人なんだろう?

TM:素晴らしい人だよ。強いところがあるのに繊細で、楽しくて、おかしなところもあるんだ。

PB:ロバート・ダウニー・ジュニアは?

TM:彼は本当にみずみずしい感性の持ち主なんだ。ものごとを生き生きと、自然なままに捉えたいと思ってるのさ。即興で演じる時なんて、すごいんだよ。

PB:ドラッグやアルコールとの格闘は、彼の演技に影響してるのかな?

TM:僕が言えるのは、人生の経験をなんでもかんでも仕事に結び付けるわけにはいかない、ってことだね。

PB:以前、君は精神的なアドバイザーの中にビル・ウイルソンの名前をあげてたよね。彼はアルコール依存症自主更正会の設立者の1人だけど。アルコール依存症自主更正会に行ったの?

TM:そのことについてはコメント出来ないね。

PB:どうして出来ないんだい?

TM:アルコール依存症自主更正会のプログラムでは、メディアで匿名を守ることがしきたりなんだよ。

< PB:どうしてなんだろうね?

TM:実際にこういう事があったせいなんだけど。ある野球選手がプログラムを受けて、自分は更正していると語り、アルコール依存症自主更正会の広告モデルになったんだ。でもそのあと彼は酒に溺れ、人生も台なしにしてしまった。それが、アルコール依存症自主更正会に対して悪いイメージを持たせたることになってしまったんだよ。

PB:だけど多くの著名人が、アルコール依存症自主更正会が人生に良い影響を与えてくれたと、感動的に語っているけどね。

TM:知ってるよ。本当に大きな影響を与えるプログラムだから、そのしきたりを僕も尊重したいんだ。他人の匿名を守るということだね。だれだれがアルコール依存症自主更正会のメンバーで、なんて言えないんだ。”ここで聞いたことは他には漏らさずに”っていうことだよ。僕はそれを守るよ。更正会の他の人についてどうこうなんて、僕が言えることじゃない。

PB:君自身はどうなんだい?

TM:そうだね、そのプログラムは、まさに僕にとって意味のあるものだったね。

PB:どんなことが君にぴったり来たのかな。

TM:信仰的な生活のいろいろな勤めや、哲学的な理論の実践から導きだされたやり方かな。アルコール依存症自主更正会には、余分なものをそぎ落とした精神性があるんだ。インチキなところなんて、全く無いよ。プログラムは僕には意味があった。ぜんぶが実践的なんだ。僕は分析したがる性格でよく考察したんだよ。プログラムには欠点が無いね。僕が整骨医をいいなと思うのは、必ず結果が出るからなんだ。このプログラムにも結果がちゃんとついてくる。ちょっと整っていないところはあるけどね。なにしろ30年代に作られたものだから。性別によって少し偏りがあるしね。”男性”についてばかり研究されてる気がするよ。でも、そのプログラムには驚くような真実があるんだ。とてもシンプルだよ。僕は更正会に入って助けを求めた。自分で望んだんだ。自分が何をするべきかなんて教えてくれるわけじゃない。会の人たちは、自分達がやっていることを教えてくれるんだ。それがやるべきことを学ぶっていうことだった。見よう見まねってわけだよ。何も考えないでいると出来るようになる。やるように言われたことをやってると、とんでもないことが起こる。そういう単純なことだよ。

PB:とんでもないことって、何が起こったんだろう?

TM:人生が素晴らしいものになっていくんだ。生活が変る。結局は、僕の人生が変ったのさ。

PB:どんなことから?君が更正会に行くことになったひどい問題っていうのはどんなこと?

TM:僕は今まで、このことをこんなにたくさん話したことは無いんだよ。今までまったくね。それは個人的な問題だよ。

PB:君は俳優だからね。世間の人は君の生活にも興味があるのさ。

TM:それこそ頭痛のタネだよ。特に『スパイダーマン』をやってからはね。以前はだれもそんなこと気にしたりしてなかったのに。『スパイダーマン』で全てが変ってしまったんだ。

PB:『スパイダーマン』がこんなにすごい成功を収めるって予想してたかい?

TM:ある程度はこうなると思ってた事もあったし、予想を超えてたこともあるよ。映画が大いに期待されてたのはわかってたんだ。40年もの歴史のあるキャラクターだからね。

PB:歴史があるってことは、いい面も、そうでない面もあるんじゃないかな?ファン達は、もう自分達の中に「スパイダーマン」のイメージを持ってるだろう?

TM:映画化で原作を脚色する時には、その本質的なものをすくいあげて、そこに基本を置いて作品を作る事っていうのがすべてなんだ。『サイダー・ハウス・ルール』は原作と全く違ってた。だけど、とても成功した作品だよ。原作者が脚本を書いているからね。『スパイダーマン』を映画化する時、今までのファンを遠ざけたくはなかったけど、原作のコミックを読んだ事のない人達にも映画を見て欲しかったんだ。

PB:君は原作を読んだ事があるの?

TM:実はほとんど読んでなかったんだよね。

PB:アクション映画に出るっていう事に抵抗は無かった?

TM:たくさんの疑問点はあったよ。現場のキッチンではどれぐらい食事が用意されて、どんな味つけなのか、質はいいのか、とかね。そういう質問を口にするとすぐ(監督の)サム・ライミは答えてくれたから、僕は台本を読んだんだ。出演を決めるのは簡単だったよ。納得のいく内容だったからね。でも、僕はスタジオを納得させなきゃならなかったんだ。

PB:1回どころか2回もスクリーンテストを受けるハメになったんだよね。成功した出演作の実績がある君には、そんな手順を踏むなんて気に入らなかったんじゃないのかな?

TM:2、3度は葛藤もあったよ。だけど乗り越えた。最初のシーンをやり終えた後、それはドラマティックな部分だったけど、スタジオ側は、アクションシーンを見たがったんだ。アタマに来るような事だね、だって彼らは、最初のシーンなんて眼中になかったんだから。僕は不満があったけど、やってみせた。そのアクションシーンはDVDに入ってるよ。僕がタイツ姿で、上半身がハダカのヤツだけど。

PB:スタジオが、君にハダカになるよう要求したのかい?

TM:その時は、レオタードを着せられてた。とてもいい体になってたんだよ、動物みたいに準備してたからね。レオタードっていうのは筋肉を締め付けるものなんだよね。そうなると、絶頂期のアーノルド・シュワルツェネガーでもなければ、本当に鍛えた筋肉を見せられる、ってワケにはいかないんだ。だから、上半身は脱ごう、って決めたんだよ。闘う場面はそれでやったんだ。

PB:アクションシーンのある役をやる、ってわかる前から鍛えてたの?

TM:肉体的な要素が重要になってくる作品を予想して、エクササイズしてたんだ。他にも出る作品を考えていてね、その中には『トレーニング・デイ』もあった。イーサン・ホークが演じた役だよ。その作品にも興味はあったけど、『スパイダーマン』の話がやってきて、他の全ての話は断ったんだ。

PB:スパイダーマン・スーツを着るのって、どんな感じ?

TM:そんなに悪くもないよ。見たとこ、バットマンのスーツは暑くて重そうだけど、このスーツは軽くて動きやすいしね。

PB:だけど君は前に言ってたよね、まるで寝袋に押し込められたみたいだ、って。

TM:それはスーツのために型取りした時のことだよ。歯医者が歯型を作る時に使うのと同じようなゴム状のモノで、僕の頭も型を取られたんだ。頭全体と肩まですっかり、ゴム状の素材を流し込まれてね。息をするために、鼻用のほんの小さな穴が開けられるけど、あらゆるところ全部、口も、目さえも、すっぽり覆われてしまうんだ。それが硬くなってくるにつれて、呼吸の穴から変な匂いが入ってきて、どうにかなりそうだったよ。それから今度は石膏でくるまれるんだ。石膏が固まってくると、熱が出るし、重くなってくる。一時間半はそのままじっとしてなきゃいけなくて、いいかげん何とかしてくれよ、って感じさ。楽しいものじゃないね。時々、スーツを着るときジッパーが壊れるんだ。スタッフがワキを縫い直してくれるけど。どっちにしろ愉快な気分とは言えないね。バットマンで仕事をしたスタントマンが教えてくれたんだけど、スーツを着こなすコツは、水分を摂ることなんだって。水分の足りない状態でいると、吐き気がするようになるから。だけど水を飲み過ぎると、トイレに行く回数が多くなる。それは苦痛だよ。

PB:・・ってことはつまり・・?

TM:スーツを脱ぐだけで10分はかかるからね。

PB:映画の一場面のことだけど。しなくてもよかったのに、キルスティンが君にホントにキスする、っていう役得な場面があったよね。どうしてそうなったのかな。

TM:カメラから僕は外れてたんだ。キルスティンはキスしようと前に体を傾けてた。本当にはしなくても良かったんだよ、その部分が写るわけじゃなかったからね。でも彼女は実際にキスした。僕は考えてもいなかったんだよ。

PB:その時どう思った?

TM:こう思ったんだ、彼女は、その場面のリアリズムを求めてそうしたんだろうな、って。

PB:イヤイヤ演じたように言うんだね。

TM:そういうシーンを演じるのって、普通は気まずいモノだもの。

PB:キスするのが、かい?

TM:ちょっと、ね。だって演じる相手のことなんてよく知らないのに。キスするなんてヘンな感じさ。謝りたい気分になるよ。『地球は女でまわってる』に出た時、僕はある女性とベッド・インしたんだ。彼女の名前さえ思い出せないよ。僕達は、半分ハダカだった。彼女に尋ねたよ、”これで大丈夫かな?”って。申し訳ないように思えたんだ。彼女が不快に思わないようにしたかったんだよ。ものすごく気まずいものなんだ、まわりにスタッフが40人も取り囲んでるんだからね。

PB:うまく切り抜けたんだろう?

TM:とってもやりにくかったよ。僕は人の目が気になるタチだから。でももちろん、そんなことは押し殺そうとした。そのシーンをちゃんとやろうと思ったんだ、だけどその場面は、映画の中で一番気詰まりだったよ。

PB:たくさんの男達は、その気詰まりな状況っていうのに憧れてるけどね。

TM:そうだろうね。さっきみたいな事言ったって、男はみんなやりたいって言うだろうね。”ああ、もちろん”ってね。若くて可愛い女の子にキスをする、だけど、実際のところ、ヘンな気分になるっていうのがホントなんだ。早く終わらせてしまいたい、って思うよ。何度も結婚して、何度も恋愛する、そんなことだって、おかしなハナシさ。

PB:だけどキルスティンとは、そのことがあってホントのロマンスが芽生えたらしいじゃないか。

TM:じゃあ、この話はおしまい。(彼は手ぶりで拒否)その事は、話す気無いよ。

PB:でも、たくさん記事になってたよね、君とキルスティンが付き合ってて、それから別れた、っていうことはさ。

TM:(微笑んで、頭を振る)

PB:わかったよ。じゃあ、これ行こうか。恋人はいる?

TM:その話はおしまいだってば。話す気が無い話題なんだから。

PB:役者をやってたら、自分の個人的な生活についても聞かれるのも仕事のうち、とは思わないかい?映画スターだけどプライバシーも保ちたい、っていうの?

TM:そう思ってるよ。インタビューを受けるのは映画を宣伝しなきゃいけないからだよ。僕の生活に関して質問攻めにするような人たちがいたってかまわないさ、でも答える義務は無いね。

PB:だけどさ、この業界で成功したら、私生活はうわさ話や当てこすりのネタになるものだよ。

TM:そんなことにエネルギー割いてられないよ。関わりたく無いね。無駄なことさ。そういうことだよ。そう受け止めなきゃいけない。そんなゴシップなんかで自分が左右されないようにね。感情的に反応しようとしちゃいけない、無駄な労力なんだから。

PB:昔からずっと映画スターになりたいと思ってた?

TM:思った事もないよ。演技したかったんだ、映画スターになるのとは別のことだよ。だけど、この世界で有名になると、才能ある俳優であることより大きな報酬が付いてくるものなんだ。僕は俳優であると同じぐらい、自分はビジネスマンだと思ってる。派手に人目を引く作品だからといって作品を選んだことは無いよ。『スパイダーマン』に出たのはその内容が納得のいくものだったし、制作者を信じていたからなんだ。だけど有名になった結果として、出来ることが多くなったよ。もっと仕事を選べるようになったし、チャンスも増えた。でも、それは僕がどうしても欲しいと思ってたものじゃない。ただ演技をしたいだけだったんだ。

PB:お母さんが演技のクラスを受けさせるために、君に100ドル渡した、っていうのは本当?

TM:そうだよ。僕は、他のクラス、家庭経営学の授業を取ることに決めてた。母は、僕に演技の授業を受けて欲しいと思ってたんだ、それに、100ドルっていうお金は、僕にとって大金だったからね。

PB:君が生まれたとき、お母さんとお父さんはとっても若かったんだよね。18才や20才で子どもを持つなんてどんな感じか、話し合ったことはあるかい?

TM:何回もね。こう思ったよ、なんてことだろ、父が自分の年には、10才と7才の子どもがいたなんて、ってね。衝撃的なことさ。僕の今の年で母は、9才の子どもがいたんだからね。もしも、父や母の年で自分に子どもがいたとしたら、何をやってたかわかったもんじゃないよ。自分のことだけでせいいっぱい、ってところなんだから。 子どもを持つのは、30代になるまで待とうと思ってるんだ。32から36ぐらいまでの間がいいんじゃないかな。

PB:君の両親は、まだ君が小さい時に離婚したんだよね。二人とはずっと会ってたの?

TM:うん、いつも、どちらかと一緒に住んでたよ。しょっちゅう引っ越ししてたけど、ずっと父と母とは連絡を取っていたんだ。

PB:君はそのときのことを、”超貧乏”って言ってたよね。その時期はどんなふうに過ごしてたんだい?

TM:その時期はきまり悪い思いをしてた。12か13の頃なんて、思春期を迎える時で、女の子やその他もろもろに興味があって、見た目はどうかとか、服は何を着るかとか、言い合ったりし始める頃だからね。でもそんな思春期の思いなんて、終わらせることにしたんだ。食料品を買うのに、母が配給用のスタンプで支払ったり、病院の支払いにメディ・カル(低所得者用の医療保険)を使うのを見た時なんかにね。そうやってその時期は乗り越えたよ。両親は懸命に働いて、必要だと思うものは僕に与えてくれた。母はびっくりするようなプレゼントを、誕生日やクリスマスに贈ってくれたんだよ。ハワイに連れて行ってくれて、その分はクレジットカードで支払ってた。ピアノを買ってくれたのもクレジットでだったんだ。母は僕に格闘技を習わせたし、ダンスや、他にもいろいろやらせてくれた。両親は、自分達は大変な思いをして、僕を援助をしてくれたんだ。犠牲を払ってね。そうしてくれたことに、敬意を持ってる。その気持ちは変らないけど、自分が若くして子どもを持ったり、あちこち住み替えようとは思わないな。

PB:あちこち引っ越しを繰り返したせいで、どんなことがあったんだろう?

TM:友達があまりいなかったよ。12の時には、友達を作るなんてことはやめてた。そんなことはまっぴらだったんだ。遊ぶ仲間はいたさ、だけど友達を作ることにエネルギーを使いたくなかった。そういう自分がカッコいいと思ってたんだね。後になって僕も仲間もオトナになり、友達も作るようになった。だけどそれにはしばらく時間がかかったよ。14の時からの友達がいるけれど、彼らが友達なんだ、と自分で認めるには数年かかったんだ。自分が彼らを信頼できるようになる期間が必要だったんだよ。

PB:それで今は?友達とはどういうふうに付き合ってるの?

TM:一緒に過ごしたりね。

PB:夜中じゅうクラブで遊んだり、とか?

TM:音楽は好きだよ、だけどクラブにはしばらくの間行ってないね。

PB:どんなのを聴くの?

TM:ヒップ・ホップとか。1993年からスヌープ・ドッグが好きだよ。ドクター・ドレはずっと、最高のプロデューサーの一人だね。だいたいの音楽は好きだけど、カントリーはなじみがないんだ。フォークはいいね。レノン・マッカートニーは、今までで最高のソングライティング・チームだよ。僕はヒップ・ホップは確かに好きだけど、それは金儲けすることや、奴隷もどきに女性達を扱うような内容を歌ってないモノに限ってのことだよ。エミネムは興味深いアーティストだし、扱ってるテーマもおもしろいね。力強さがあるし、感情に訴えるものがあるんだ。彼の曲って、この社会が生み出した興味深い作品だよ。

PB:葉巻が、今の君の良くない習慣?

TM:あと、カフェインが少し。

PB:葉巻はどんなのを吸う?

TM:コヒバ・ロブストが多いね。

PB:吸い始めたのはいつ?

TM:ときどき吸うぐらいだけど、2、3年前からね。その時は、今よりもよく吸ってたんだ。このことは、信頼できる出版物じゃないと載せたくないんだよ。子どもが見る映画に出てるんじゃなかったら、こんなことは気にしない。子どもが、”カッコいいな、彼だよ”なんて、葉巻を吸ってる僕を見て言うようになって欲しくないんだ。人目に立つようなところでは、吸わないようにしてるんだよ。

PB:他に悪癖っていうのはある?

TM:テレビゲームだね。

PB:テレビゲームが悪い事?

TM:そうだよ。ゲームのやり過ぎは良くないことだけど、気付くと、ずっとやってた、って事が時々あるんだ。

PB:どんなゲームをやるの?

TM:今はエックス・ボックスで”インディ・ジョーンズ”をやってるよ。プレイステーションで”ゲッタウェイ”と”ヴァイス・シティ”を終わらせたばかりなんだ。”ヴァイス・シティ”は、過激なゲームで、それでもやる意味がどこかで出てくるんじゃないかと、ずっとゲームを続けたけど、結局何も無かったね。このゲームにはモラルが無いよ。犯罪者の話なんだ。卑劣なことばかりやってる。初めは、主人公は覆面捜査官か何かいいヤツなのかもしれないと思ってた、でも違ったんだ。衝撃を受けるようなゲームだよ。

PB:ベジタリアンになったのはいつ頃?理由は何なんだろう?

TM:だいたい10年前ぐらいからだね。食べる時間の半分はゾッとするようなモノを全部取り除くのに使ってたし、それで吐きたくなってたよ。血が付いてるのがダメなんだ。内臓や血管のある部分も好きじゃない。化学薬品やホルモンをいっぱいに詰め込まれた動物の死骸なんて食べたくないよ。そんなモノを食べるなんて、いいことじゃない。吐きそうになった時から、そんな気味の悪いモノは食べないのが当たり前になったんだ。

PB:有名になってから、生活はどんなふうに変ったのかな。

TM:身を守らなきゃいけなくなったよ。時々、後をつけてくる連中がいるからね。

PB:恐るべきパパラッチのこと?

TM:そう。バックミラーを見ると車が2台ついて来たりするんだよ、カメラを抱えてるやつらのね。僕を撮ろうとする連中は好きになれないよ。

PB:どのぐらい厚かましいんだろうね?

TM:厚かましい、ほんと、そうだね。時々もう、こんな感じになるよ、”まったく、なんてことだよ、家にこもってることにするさ、あの連中の相手はしてられないもんな”ってね。別の時は、3台も4台も車が後をつけくるから、”バカバカしい”って感じになって、すぐ家に戻ろうって決めてしまうこともあるんだ。

PB:ファンもわずらわしいかい?

TM:ファンの人たちは、控え目にして気を配ってくれてるよ。ファンならかまわないさ。僕が気にするのは、他人から巻き上げて金儲けをしようとしてる連中だよ。そんな行為は褒められたもんじゃないね。ファンだったら、ちゃんと尋ねてくれるからね。”サインしてもらえますか?”って。”今は食事中だけど、終わって出る時だったら、いいよ”って答えられる。だけどパパラッチは尋ねたりなんてしないんだ。連中ときたら、人の具合の一番悪い場面か、個人的な用事を済ませてる場面を狙ってるんだ。

PB:普通の生活を送れないぐらい、彼らに侵入されるんじゃないか、ってことだね。

TM:なんだったら、いつだって引っ越すことも出来るんだ。ロサンジェルスに住んでるのは友達がいるからさ。僕の故郷だよ。今は映画のプロデュースの仕事もあるしね。だけど、ここから出て行くことだって出来るんだ。モンタナなら、パパラッチがそんなにいるとは思えないしね。

PB:モンタナだって?

TM:どうなるかわからないさ。僕が家族を作るなら、ここに住もうとは思わない。わかりきったことだよ。今では仕方ないことだと思ってる。払わなきゃいけない代償ってことだね。僕の人生もそんなには悪くないってことだよ。


David Sheff